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ANAホールディングスは、GNSSと旅客機を活用し、これまでにない新しいデータの取得を始めました。GNSSは単なる位置情報の測定にとどまらず、電離層の状態や大気中の水蒸気量を観測することができます。これにより、宇宙天気の予測や、より精度の高い天気予報が可能になります。従来は陸上でしか得られなかったデータを、旅客機を使って海の上の空から収集し、地上の暮らしに新たな価値をもたらします。
News
01 洋上電離層の観測

電離層は、
地上から上空約50km~1000kmにある、電子を帯びた空気の層のことをいいます。
太陽からの紫外線やX線が、空気の粒である分子や原子に当たり、電子が飛び出しています。
この電離層により電波を反射させ、私たちが日常で使用している電波を遠くまで届けられる
特徴がある反面、電離層は時間帯や太陽活動の活発化(太陽フレア)の影響によって形が乱れ、
その電離層の乱れによって地図の位置情報や通信障害を引き起こします。
ANAホールディングスは、そのような課題を解決するため自社の旅客機とGNSS受信機を組み合わせ、
洋上の電離層を観測することにより、その乱れを予測(宇宙天気予報)する
事業化検討を開始しました。電離層の乱れは天気のように西から東へ伝播することから、
乱れが陸上へ到達する前にANAの旅客機で電離層の状況を洋上で観測し、
いち早く地上へそのデータを届けることが可能です。
また、成層圏付近で観測することから対流圏の水蒸気の影響を受けないデータの取得が可能です。
こうした従来の陸上観測では得られなかった電離層データにより宇宙天気予報の高度化を目指します。



02 洋上水蒸気量の観測

水蒸気量は、
気象予報をより正確にするために、大切な要素の一つとなります。
水蒸気は目には見えませんが、雲や雨を生み出し、時には雷や線状降水帯のような激しい気象現象
を引き起こす元になります。つまり、水蒸気の量をしっかりと把握できれば、天気の変化をより正確に
予測し、気象災害への備えを強化することができるのです。
これまでの観測では海の上の水蒸気量を詳しく測ることができませんでした。
なぜなら、従来の観測は主に陸上からの気球の利用や人工衛星から観測が行われており、
洋上データの解像度が十分に得られなかったからです。
ANAホールディングスはこうした水蒸気観測の課題解決のため、ANAの旅客機とGNSS受信機を活用して洋上の下層の水蒸気量を観測する技術を開発しています。
詳細な水蒸気量を観測することで今よりも高度な気象予報を実現し、航空気象はもちろん、
気象災害へ十分に備えることができる未来の実現を目指します。




03 独自データによる機械学習モデルの開発

気象の影響を受ける業界は数多く存在します。
その中でも、航空業界は天候の変化に大きく左右される代表的な業界の一つであり、
突然の悪天候によるフライトの遅延や欠航は日々発生しています。
ANAホールディングスは、これらの課題に立ち向かい、より円滑な航空オペレーションを実現するために、
航空機にて得られる独自データを活用した機械学習モデルを開発しています。
より精度の高い気象予測を行い、航空オペレーションの効率化を図ります。
また航空業界だけでなく、この技術を気象の影響を受けやすい他業界である農業、物流、
建設業界などへも展開し、気象の影響を最小限に抑えるオペレーションの実現を目指します。
ANAは、単なる航空会社にとどまらず、テクノロジーを活用してより良い社会を実現する
企業としてこれからも挑戦を続けていきます。気象データの活用と機械学習の融合によって、
航空業界はもちろん、さまざまな業界のオペレーションを円滑にし、未来のビジネス環境を
より良いものへと変革していきます。

